個人情報の取得や運用に関わる企業や個人事業主にとって、「個人情報保護法」の理解は欠かせません。
しかし、法律の条文は専門的で分かりにくい部分も多く、「どこから手をつければよいのかわからない」と感じる方も多いでしょう。
本ブログは法務担当者向けの記事を書いていますので、日々の実務のお役にたったら嬉しいです。

本記事では、個人情報保護法の基本的なポイントをわかりやすく解説し、法務担当者や事業部の方が実務で活用できるようにします。
個人情報保護法とは?
個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)は、個人のプライバシーを守るため、事業者が個人情報を適切に取り扱うように定めた法律です。
2003年に制定され、2022年には改正が行われています。
個人情報とは?
個人情報とは、「生存する個人を識別できる情報」のことを指します(個人情報保護法第2条)。
具体的には、以下のような情報が該当します。
顔写真や指紋データ
IPアドレスやクッキー情報(特定の条件下で個人情報に該当)
個人情報保護法の対象者
個人情報を取り扱うすべての事業者が対象となります。これには、
ECサイト運営者
フリーランスや個人事業主
NPO法人や学校法人
などが含まれます。
個人情報の適切な取り扱いとは?
個人情報保護法では、事業者に対して適切な管理や運用を求めています。特に重要なポイントを見ていきましょう。
1. 取得の際のルール
個人情報を取得する際は、利用目的を明示し、適正な手段で取得しなければなりません。
例えば、Webサイトのプライバシーポリシーに利用目的を明記する、申込フォームで事前に利用目的を説明する、対面での取得時に口頭または書面で通知するなどの方法があります。
NG例:
利用目的を伝えずにメールアドレスを収集する
他の目的で使う可能性がある情報を、用途を限定せず取得する
2. 利用・管理のルール
取得した個人情報は、以下のような管理が必要です。
利用目的の範囲内でのみ使用する
適切なセキュリティ対策を講じる(アクセス制限、暗号化など)
従業員や委託先と秘密保持契約を結ぶ
3. 第三者提供のルール
個人情報を第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。ただし、以下の例外もあります。
法令に基づく場合(警察の捜査協力など)
委託業務のために必要な場合(配送会社への住所提供など)
4. 個人情報の開示・削除
個人情報を提供した本人から、「自分の情報を開示してほしい」「削除してほしい」と請求された場合、対応が求められます。
企業は迅速に対応できるよう、社内体制を整えておく必要があります。
違反した場合の罰則
個人情報保護法に違反すると、以下のような罰則が科される可能性があります。
例えば、過去には大手ECサイトが個人情報漏えいを起こし、数億円規模の損害賠償を請求された事例があります。
また、医療機関が患者情報を適切に管理せず、行政指導を受けたケースもあります。
命令違反による罰則: 最大1億円の罰金(法人の場合)
個人情報漏えいによる信用低下: 顧客の信頼を失うリスク
まとめ
個人情報保護法は、企業や個人事業主が適切に情報を扱うための重要な法律です。
ポイントを押さえて、適切な管理を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
特に、以下の基本ルールを理解し、実務に活かしていきましょう。
適切な管理とセキュリティ対策を行う
第三者提供には本人の同意を得る
開示・削除の請求には対応する
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